神社本庁は、伊勢の神宮を本宗(ほんそう)と仰ぎ、全国の大多数に及ぶ約八万社の神社を包括する団体です。本宗とは、伊勢の神宮が皇祖天照大御神をお祀りし、ほかの神社と比べて格別なる御存在であることを示す尊称として用いられています。
昭和二十年の終戦とともに進駐してきたGHQ(連合国最高司令官総司令部)は占領政策の一環として、神社の国家からの分離を目的とした「神道指令」を発しました。翌二十一年に内務省神祇院が廃止され、同年二月三日に神社関係の民間団体であった皇典講究所・大日本神祇会・神宮奉斎会の三団体を母体として、全国の神社と神社関係者を統合するための宗教法人神社本庁が設立されました。
設立にあたっては、教養が明確化された組織(神社教)の形態をとることなく、各神社の独立性を尊重し全国の神社が独立の組織として連盟を結成する(神社連盟)という考えが基本とされました。
神社本庁の役割は、包括下の神社の管理・指導を中心に、伝統を重んじ、祭祀、道徳の振興をはかり、我が国の繁栄を祈念して、世界の平安と人類の福祉に寄与することであり、このため具体的な活動としては、①神社神道の宣揚 ②祭祀の厳粛なる執行 ③氏子崇敬者の教化育成 ④本宗である伊勢の神宮の奉賛(ほうさん)と神宮大麻の頒布(はんぷ) ⑤神職養成 ⑥教化図書・冊子の発行頒布を通じた広報活動 ⑦そのほか、神社の興隆発展を図るために必要な諸活動――――などがあります。
前述のような性格により、他宗教にある統一的な教義といったものはありませんが、敬神崇祖を日常の生活実践としていることから「敬神生活の綱領」を定め、以下の三綱領を掲げております。
一、神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと
一、世のため人のために奉仕し、神のみこともちとして世をつくり固め成すこと
一、大御心(おおみこころ)をいただきてむつび和らぎ、国の隆昌と世界の共存共栄を祈ること
また、神社本庁・神社の信仰的機能や神職・総代の役割などを明らかにした「神社本庁憲章」が定められ、神道の護持のために必要な精神的規範とされています。
《「神道いろは 神社とまつりの基礎知識 神社新報社」より》